虫歯予防・小児歯科にチカラを入れている、高知県高知市愛宕町の松木歯科医院
歯の神経と一般に言われますが、実は神経だけではなく、歯への栄養を供給する血管も含み歯髄と呼ばれるものです。冷たいものや熱いものがしみたりするのはこの歯髄のためです。虫歯が大きくなって歯髄に細菌が入ると、何もしなくてもすごく痛んだりします。放っておくと、歯髄は腐ってしまい、細菌が歯の根を伝わって顎の骨へ侵入していくことになります。そのため、痛みを取り除き細菌の広がりを阻止するために神経を取ります。しかし、神経を取るときに栄養血管も除去されるため、歯は脆くなり、寿命が短くなります。残せる神経は極力残すようにしています。
神経をとるため、歯の真ん中に大きな穴が開くことになり、割れやすくなります。さらに、歯の神経を取り除くと言うことは、神経だけでなく血管も含めて取ることになります。そのため、神経を取り除いた歯は、血が通わなくなり、栄養が届かず枯れ木の様な状態となりもろくなり、かけやすくなります。
そのため、歯の神経を取った場合は残っている歯を守るため、部分的に詰めるのではなく、すっぽり覆う被せものになります。
神経のある歯の治療をした場合、元々痛みがなかった歯であっても、ときどきしみたり、痛んだりすることがあります。その他、神経のある歯につめものをした後、しみたりすることがあります。
その理由は
完全にむし歯の部分を取り除くためには、神経に近いところまで歯を削ることになります。その結果、神経にダメージが残り、治療後に痛みが出ることがあります。
虫歯の部分を削る際、どうしても熱や振動などの刺激が神経に伝わります。
そのため、神経が過敏な状態になり、刺激に敏感になり痛みが出ることがあります。
歯の詰め物として、特に金属製の物を使用したような場合、熱伝導によりしみることがあります。具体的に言うと、金属は熱を神経に伝えやすいので、金属のつめものや被せものを入れた当初は、しみることがあります。
痛みが取れるまでの期間は、歯の状態や人によって、1〜2週間から数ヶ月ぐらいまで様々です。
しかし、時間と共に、過敏になっている神経が落ちついてくると治まってきます。それは、 しみやすい状態がしばらく続くと、歯は神経を守ろうとして、神経を囲むように新しい歯をつくるからです。この新しい歯とは、二次象牙質というものです。二次象牙質がだんだん厚くなってくると、刺激が神経に伝わりにくくなり、しみにくくなってきます。熱いもの、冷たいものをできるだけ避けて、あまり神経質にならず、気長におさまるのを待ってみて下さい。しかし、一ヶ月以上も過ぎてまだ違和感があったり、しみ方が、あまりにひどく苦痛を伴ったりする場合には、遠慮せずに尋ねてみて下さい。しみ止めのお薬や、神経を鎮静させるレーザー治療があります。しかし症例によっては残念ながら、やむを得ず神経を取らないといけない場合もあります。
特にむし歯になっているわけでもないのに、冷たい水を飲んだり、うがいをしたりしたときに、しみたり、ピリッとしたりするような状態を言います。他にも、歯磨き、甘い物、果物などでも痛むときがあります。この状態を知覚過敏と言います。
なぜしみるかというと、歯ぐきがやせたり、歯の根の部分がちびたりすると、外と歯の神経までの距離が近くなり、外からの刺激が伝わりやすくなります。そのため、ちょっとした刺激でも、歯の神経が反応するようになります。それ以外でも、歯茎に炎症を生じたり、無理な荷重(歯ぎしりなど)が歯に加わったりして、歯の神経が弱ったときにも過敏状態になります。
痛いからといって歯磨きをせずに不潔にしておくと、歯ぐきが炎症を起こし、さらに神経が過敏になります。清潔にしておくと、唾液中のカルシウムが歯に取り込まれ、硬くなり、刺激が伝わりにくくなります。
歯科医院でしみどめのお薬を塗って、刺激が伝わりにくくしたり、高周波を当てたりして、過敏になっている神経を鎮静させます。
フッ素のうがいを続けると、フッ素が歯に取り込まれ、硬くなり、刺激が伝わりにくくなります
知覚過敏用の歯磨き剤『シュミテクトF』をお勧めします。当院で販売していますが、スーパーでも売っています。フッ素も入っていますので、むし歯予防にも効果的です。歯ブラシの力を抜いて、軽くお薬をすり込むようにして使うのがコツです。
かみ合わせの関係で、歯に過剰な力がかかっているときは、症状が治まりにくくなります。その場合は、強く当たっているところを削り、力を弱めるようにします。
神経を取った歯は、神経をとった跡が空洞になっています。さらに、歯質がほとんど残っていないことが多く、そのままでは被せてもすぐに外れてしまいます。そこで、元々神経が通っていた管に芯を入れて補強し土台とします。
歯と歯茎の間にある溝のことを歯肉溝と言い、一本の歯の周りぐるりと全集に存在します。この溝の深さは正常の人では1〜2㎜です。しかし、歯を支えている骨がなくなってくると、徐々にこの溝が深くなってきます。4㎜以上になると歯周病が始まっており、6㎜以上になると重傷の歯周病と言えます。歯周ポケットとは4㎜以上の病的な歯肉溝のことを言います。4㎜以上になると炎症で溝の周囲の歯肉も腫れて膨らむため、まるでポケットのような袋状の空間が出来上がります。このことから歯周ポケットと呼んでいます。
歯周ポケットが出来ると次のような問題が起きます。
歯肉が下がると根が露出し、その部分は神経に近くなるためしみやすくなります。歯石の多い人は、既に歯槽膿漏がすすんでおり、歯肉が下がりやすい状態にあります。または、既に歯肉が下がっており、本来見えないはずの根が既に露出していることもあります。
歯石を取った後の知覚過敏は対症療法をしているうちに徐々に治まってきます。それは、 しみやすい状態がしばらく続くと、歯は神経を守ろうとして、神経を囲むように二次象牙質という新しい歯質を刺激の加わるところにつくるからです。二次象牙質がだんだん厚くなってくると、刺激が神経に伝わりにくくなり、しみにくくなってきます。
歯肉縁上に少しついているだけの歯石なら、一度で全部の歯の歯石を取ることも可能です。しかし、すでに何らかの歯周病の症状が出ているような方の場合、歯周ポケットが深くなり、目では直接見ることのできない歯周ポケットの底の方に硬くなってこびりついている歯肉縁下歯石(下図)であることが大半です。
これを指先の感覚を頼りに手探りで、しかもなるだけ痛みが出ないように柔らかく、そっと、確実に取るためにはかなりの時間がかかります。全部の歯が中程度の歯周病にかかると、その歯周ポケットの総面積はその人の手のひらと同じであると言われています。その歯周ポケットの中を1ミリほどの刃先で掃除するわけですから、とても一回では出来ないことはおわかり頂けるかと思います。
差し歯とは、神経が無い歯の根っこに土台を建ててその上にかぶせた歯のことを言います。昔の差し歯は土台の部分と被せ物の部分が一体となっており、文字通りの差し歯でした。しかし、歯の根の方向と歯の被せ物の方向が必ずしも一致するわけでなく、一体型で作ると精度が非常に悪くなるため、現在では歯の土台とかぶせ物の2重構造になっています。しかし、昔ながらの言い方が患者さんにわかりやすいため、神経を取った後の歯の被せ物を差し歯ということがあります。
ブリッジなど被せ物同士がつながっているとフロス(糸ようじ)を通すことができず、とても磨きにくくなります。そんなときにはスーパーフロスを使ってみて下さい。
※③フロス部分は通常のデンタルフロスと同じように他の歯の隣接面を清掃するのに使用できます。⇒1つで2つの機能を持っています。
残念ながら、現在の保険制度では、一度作った入れ歯は作った日から6か月経たないと新しい入れ歯を作ってはいけない規則になっています。昔はそうでもなかったのですが、現在、医療費削減のため、このようになってしまいました。みなさまには申し訳ないのですが、新しく作った入れ歯が、今ひとつ調子が悪くてもその不具合を半年の間に改良して、次の入れ歯を最高の入れ歯にするためのステップとして考えてみて下さい。
ケガなどで歯が折れた場合、折れた歯が見つかれば、清潔にして歯医者さんにいってください。最近は良い接着剤もありますから、そのまま接着できるケースもあります。欠け方が小さい場合は、虫歯の治療で使う方法で元通りの歯の状態にすることができます。欠け方が大きい場合は残念ながら神経を取る場合もあります。
歯が抜けたときは、永久歯か乳歯かで処置が違ってきます。永久歯の場合、清潔にして乾燥しないような状態で歯医者さんに持っていきましょう。抜けて30分以内のような場合は、抜けた場所にはめ込み、周りの歯で固定することで元通りくっつく可能性が高くなります。生理食塩水(コンタクトレンズ用保存液)(水は不可)なければ牛乳に漬けて、早めに歯科医院に持って行きましょう。もし何もなければ、唇の間に挟んで乾かさないようにして早めに受診して下さい。地面に落ちたからといって、決してゴシゴシこすって汚れを取ったりしないで下さい。歯の周りの生きている部分を傷つけてしまうことになります。
抜けた歯が乳歯であれば、いずれ永久歯が生えてきますから、抜けたことをそれほど気にする必要はありません。